環境問題改善の取り組みとして、「グリーンファイナンス」が注目されている。
要は、脱炭素を目的とした企業活動に対して積極的に資金支援しましょう。ということ。
背景としては、産業革命以降の平均気温の上昇を1.5度程度に抑制するために、2050年までに温室効果ガス排出量を正味ゼロに減らすためには、企業が脱炭素にフォーカスした設備投資などの投資が不可欠で、実現のために多額の資金が必要となる。
現時点で温度上昇は1℃程度と言われているが、温度上昇が2℃を上回ると、環境問題は不可逆になり改善不可能となるらしい。
具体的には、海面上昇し、台風は巨大化し、降雨量が増加し、世界的に洪水の被害が甚大になる。
環境改善のためには莫大な投資が必要となるが、その金額は2030年までに現状の投資額の「2倍の550兆円」が必要とのことで、その後も2050年までは同水準の投資額が必要らしいです。
◆ 現状の金融市場
気候変動のリスクが十分に反映されておらず、化石燃料系の銘柄への投資額が過剰であり、相対的にグリーンファイナンスの資金が不足している。
炭素価格が安く試算されていることが直接的な要因で、自然災害や食糧不足などにかかるコストやリスクが勘案されていない。
さらに、温室効果ガスの排出量が多い事業は、長期的には座礁資産となる可能性が高く、企業経営の負債となる可能性がある。
ということで、現状の金融市場では、上記のような自然災害や座礁資産のリスクが反映されていないわけだが、反映されていない要因は、将来の気候の予測やリスク予測が曖昧で、リスクの危機感が醸成されていないこと。
◆ 脱炭素の現状と今後
多くの国が温室効果ガスの排出量を「正味ゼロ宣言」しているが、現状では実現するための戦略が整合しておらず、目先の経済成長を優先するがゆえ、大きく舵を切ることができないのが現状。
ESG投資に関しても、投資家はそれなりの利回りを一定期間以内に確定する必要があるので、大きく舵を切れない。
今後は政府主導でグリーンファイナンスの普及させる方針だが、まずは「グリーン」の定義を明確化し、極力定量評価で基準を設ける必要がある。
基準設置のプロセスとして、各企業の温室効果ガス排出量などの情報開示が必須となる。
◆ 銀行の取り組み
日銀は各銀行資金供給するわけだが、「脱炭素促進に投融資」場合に限り、低金利で融資を開始する。
当然だが、大幅な温室効果ガスの削減目標を設定し、詳細の情報開示を行う企業が融資先として優先される。
昨今の売電価格の下落で、太陽光発電投資への銀行融資は審査が厳しくなってますが、グリーンファイナンスの展開で、太陽光発電投資への融資の門戸が開かれるかもしれませんね。