住宅用の太陽光発電システムが義務化?
「住宅への太陽光発電システム設置の義務化を視野に入れるべき」との小泉進次郎環境大臣の発言が物議を醸しました。
太陽光発電の義務化は実現できるのか?
そもそも、太陽光発電の義務化は必要か?
以下に解説いたします。
小泉進次郎環境相の発言の内容
◆ 現状について
「2030年度の温室効果ガスの削減目標は間違いなく今よりも強化される」
◆ 解決策について
「一番のカギは再生可能エネルギーの普及促進が必須」
「技術革新により、10年後には低コストで再生可能エネルギーを導入できる」
「2030年までに、いかに太陽光発電を普及できるかが重要」
「住宅への太陽光パネルの設置義務化を視野に入れるべき」
「政府が国際水準の投資をしないと、民間は動かないので、国として明確な覚悟を打ち出す」
要は「温室効果ガス削減のために、住宅に太陽光発電システムの設置義務化を検討しましょう」という話。
結論から述べると、
屋根材などの理由で設置できないケースを除外すると、実現可能ではないでしょうか?
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住宅に太陽光発電システム義務化の懸念点
◆ 小規模工務店は太陽光発電の設置ノウハウがない
大手ビルダーなら、技術力や取引先が充実しており、あらゆるニーズに対応できますが、「工務店のほとんどは小規模企業や中小企業」で、自社での技術的な対応力やネットワークが限定的です。
実際は?
太陽光発電の設置工事業者は多数存在し、商社や建材屋経由でも容易に手配できますし、インターネットで検索してもエコ発電本舗のような販売施工店にたどりつきます。
太陽光発電の販売店は「設計・性能説明・設置工事・認定申請」までオールインワンで対応するので、工務店の太陽光発電設置に関するノウハウは不要です。
◆ 住宅の購入価格が上昇する
太陽光発電システムを設置することで、その分住宅の販売価格は値上がりします。
価格は設置する太陽光パネルの容量に連動し、「設置容量3kW程度なら100万円程度」住宅価格に上乗せされます。
実際は?
太陽光発電は「売電収益・節電効果」の金銭的な価値があるので、長期的には「販売価格以上の経済メリットを享受」できます。
また、住宅ローンに組み込めば、概ね支払金額より「売電収益・節電効果」の方が大きいので月々の収支はプラスになります。
ということで「工務店側のノウハウ」「導入者の価格面」での懸念はございません。
◆ 結局、太陽光発電はお得なの??
小泉進次郎環境大臣の見解通り、太陽光発電システムの価格は年々低下しており、10年後の販売価格は若干は低下しているはずです。
売電価格も年々低下傾向ですが、電気料金は上昇しているので、発電電力の自家消費比率が高まると、導入価値は上昇します。
設置容量3kW程度であれば1日の発電量は8~9kWh程度で、発電量の多くを自家消費に充当できます。
地方自治体からも多額の補助金が出ているので、導入を検討している方はご在住の自治体の補助金をフル活用して、できる限り低価格で太陽光発電システムを導入しましょう。
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◆ 太陽光発電の補助金
太陽光発電の補助金(自治体から)は以下をご参照ください。
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ZEHで太陽光発電の設置義務化??
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、通称ゼッチの推進により、太陽光発電システムが義務化される予定でした。
ZEHの定義は、以下です。
「太陽光などのエネルギー創出」-「消費エネルギー」≧ 0
創エネ、省エネ、蓄エネ、断熱などを組み合わすことで、エネルギーの自給自足を実現する仕組みです。
ZEHのメリットは「光熱費の削減」だけではなく「補助金」「税制優遇」などの経済的支援も享受できます。
2030年には「新築住宅の平均でZEHの実現」を目標として掲げていました。
太陽光発電の設置が義務化ではないですが「ほとんどの新築住宅に搭載する」という目標を定めていました。
◆ 2030年のZEH平均化を撤回
2020年の時点で「ZEHの新築住宅への平均搭載は現実的ではない」と判断され、ZEHの平均化は撤回・延期されました。
理由は「工務店の対応力」で、上述しましたが、建築業者のほとんどは小規模・中小企業で新しい技術への対応力が限定的です。
ZEHの実現には、太陽光発電の導入だけではなく、高性能断熱材や高断熱窓などさまざまな加工を施す必要があります。
多数の小規模工務店が対応できる仕組みが構築されないと、ZEHの義務化は難しそうですね。