太陽光発電の10年後、どうする? 卒FIT後の最適な選択肢を徹底解説

投稿日:2025年03月08日

太陽光発電の10年後、どうする? 卒FIT後の最適な選択肢を徹底解説

住宅用太陽光発電を導入して10年が経過すると、FIT(固定価格買取制度)の適用が終了し、余剰電力の売電価格が大幅に下がる「卒FIT」を迎えます。収益性が低下し、太陽光発電のメリットを十分に活かせなくなるため、今後の電気の使い方を検討しなければなりません。
本記事では、卒FIT後の太陽光発電の活用方法について解説します。太陽光発電を設置している方や、これから導入を検討している方は、ぜひ最後まで読んでください。

住宅用太陽光発電を導入した10年後には、FIT(固定価格買取制度)の期間が終了します。いわゆる卒FITです。ここでは、FITの概要を改めて確認しながら、卒FITを迎える10年後にどうなるのかについて解説します。

FIT(固定価格買取制度)とは

FIT(固定価格買取制度)とは、再生可能エネルギーの普及を目的として導入された制度です。住宅用太陽光発電(10kW未満)の場合は10年間、電力会社が余剰電力を固定価格で買い取ってくれます。これにより、安定した売電収入を確保でき、投資回収の見通しを立てやすくなるのがメリットです。
設置コストはかかりますが、売電収入と電気代削減の相乗効果によりスピーディな投資回収が可能であり、FIT期間中に初期費用を回収できるケースもあります。また、期間中は売電価格が固定されるため、安定した収益の見通しが立てられます。
FIT価格は、国が設定し、設置年度によって買取価格が異なる点が特徴的です。価格は毎年度見直され、年々低下する傾向にあります。
FIT期間終了後は、これまでの固定価格での売電ができなくなります。FITは新規導入者向けの制度であり、契約期間中は価格は変わりませんが、期間終了後は買取価格が大きく変動します。

卒FITとは

卒FITとは、FITの契約期間が終了し、それまでの固定価格で売電ができなくなる状態です。住宅用太陽光発電の場合、FIT期間は10年間と定められており、これを過ぎると卒FITとなり、FIT制度の適用外となります。
卒FITを迎えて一番変化するのは、売電価格です。FIT期間中は固定価格で売電できますが、卒FIT後の売電価格は電力会社との相対契約によって決まります。
卒FIT後も、大手電力会社や新電力が卒FIT向けの買取プランを提供しており、価格や契約内容を比較して最適なプランを選択できます。早めに情報収集を行い、最適な対策を取ることで、卒FIT後のリスクを最小化できます。

卒FITが及ぼす影響

卒FITが及ぼす最大の影響は、前述のとおり売電価格の変化です。卒FITを迎えると、余剰電力の売電価格が大幅に低下します。例えば、東京電力エナジーパートナーでは1kWhあたり8.5円の買取となります。16円/1kWhであった2024年の住宅用太陽光発電のFIT価格と比べても、相当な下落です。
卒FITによる売電価格の低下は売電収入を減少させ、FIT期間中は、売電収入によって電気代の一部または全額を補填できるケースもありますが、卒FIT後はそれが難しくなります。売電収入の減少が家計に与える影響は深刻です。
卒FIT後の買取価格は電力会社ごとに異なります。東京電力エナジーパートナーの8.5円/kWh以外にも各社のプラン比較が重要です。

卒FITは太陽光発電を見直す機会

卒FITは単なる売電価格の低下ではなく、太陽光発電の運用の仕方を見直す良い機会となります。これまで売電を中心に考えていた家庭も、自家消費を優先するように切り替えるのです。
自家消費とは、太陽光発電でつくった電気を売電せずに家庭で使用する方法です。売電価格が下がる一方で、電気料金(購入電力単価)は高騰しているため、「売る」より「使う」ほうが経済的に有利な場合が少なくありません。
具体的な方法としては、エコキュートや蓄電池、電気自動車(EV)充電などを併用して、昼間の電力消費を増やす工夫ができます。蓄電池を導入すれば、夜間の電力を自家消費でき、売電するよりお得に活用できるでしょう。新電力のプラン比較も含めて、卒FIT後の選択肢を事前に検討してみましょう。


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卒FIT後の太陽光発電の活用方法

卒FIT後の太陽光発電の活用方法

卒FIT後は太陽光発電の活用方法を見直し、売電を継続するのか、それとも自家消費を増やすのかなどの判断が必要となります。ここでは、売電の継続、プラン変更、全量自家消費など、具体的な選択肢を6通り紹介します。

継続して余剰電力を売電する

卒FIT後も、電力会社は引き続き余剰電力の買取を行っています。ただし、買取価格はFIT期間中の固定価格よりも大幅に下がるため、売電のみを目的とした運用は経済的メリットが少なくなります。
卒FIT後の売電価格は市場価格(回避可能原価)に近づくため、大幅に減少します。また、市場連動型の買取プランもありますが、固定価格のように売電価格が長期にわたって保証されません。卒FIT後の買取価格は電力会社ごとに異なるため、買取プランの選択肢を慎重に比較する必要性があります。

別の電力会社に売電先を切り替える

FIT期間中は国が買取価格を決めていましたが、卒FIT後は電力会社ごとに買取価格を自由に設定できます。同じ1kWhでも会社によって「8円」「10円」「12円」など価格が異なる場合があります。卒FIT後も継続して売電する場合は、複数の電力会社のプランを比較検討し、少しでも収益を高めるため、より条件のいい売電先に切り替えましょう。
住宅用太陽光発電の電気は「環境価値」があるため、ある程度の価格で購入する電力会社もあります。環境価値とは、環境に優しいエネルギーです。太陽光発電の電気は、温室効果ガスであるCO2(二酸化炭素)を排出しないクリーンエネルギーであり、「環境価値」を持っています。一部の電力会社は、環境価値を重視し、通常の市場価格よりも高い価格で買取るプランを提供していますので検討してみましょう。

蓄電池を導入し、全量自家消費する

FIT期間が終了すると売電価格は低下しますが、一方で、電力料金は上昇しています。太陽光発電の余剰電力は、売らずに自家消費したほうが、経済的に有利になるケースが増えています。
家庭用蓄電池を導入すると、日中に発電した電力を貯めておき、夜間に使用して電気の購入量を減らし、電気代の削減を実現できます。特に、電気料金が上昇している現在、電気の購入単価(約30円/kWh)よりも売電単価(卒FIT後の価格では8~14円/kWh)の方が低いため、自家消費した方が圧倒的に有利です。
太陽光発電は昼間しか発電できないだけでなく、発電した電気も昼間しか使えません。しかし、蓄電池があれば、夜間や早朝にも電気を使用できます。深夜の家電使用(エアコン・冷蔵庫・給湯器など)にも対応できるため、効率的なエネルギー利用が可能です。
加えて、蓄電池があれば災害対策を強化できます。停電時の非常用電源として活用できるため、非常時に安心です。

エコキュートを導入する

電気

エコキュートは、ヒートポンプ方式でお湯を沸かし、貯湯するシステムです。太陽光発電で昼間に発電した電気をエコキュートにより給湯に用いる形で、余剰電力の有効利用ができます。蓄電池との連携も可能で、エコキュートの利用価値がさらに高まります。
エコキュートは夜間でも高い効率で運転できるため、昼間の余剰電力を夜間に蓄熱して使用するシステムを構築できます。結果、昼間の自家発電分を存分に活用し、購入電力を減らせます。
エコキュートは大気熱を利用したヒートポンプ技術を採用しているため、従来の電気温水器と比べて効率が高く、電気代を抑えられます。卒FIT後の電力運用の柱の一つとして、導入を検討してみましょう。

電気自動車・V2Hを導入する

電気

電気自動車(EV)は、ガソリンエンジンを使用せず、電気のみで駆動する自動車です。また、V2H(Vehicle to Home) は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに蓄えた電力を家庭に供給するシステムです。
卒FIT後に売電価格が下がっていくなか、EVとV2Hを組み合わせることで、電力の有効活用が可能となります。従来のEV充電は「電力を車に充電するだけ」でしたが、V2Hを導入すると「EVの電力を家庭で利用する」ことも可能になります。
V2Hを活用すれば、昼間に発電した電気をEVに蓄え、夜間に家庭で使えます。結果、電力会社からの購入電力量を減らし、電気代の削減につながります。
EVに蓄えた電力はV2Hを介して、停電時にも家庭の電力として利用可能です。災害が多い日本では、非常用電源としての価値が高まります。

太陽光発電システムを撤去する

太陽光発電システムの寿命は一般的には20〜30年とされていますが、実際は10年を経過すると発電効率が低下し、パワーコンディショナーの交換が必要になるケースが多いです。その点を考えると、システムの運用を終了し、この機会に撤去するという判断もあります。システムを撤去すると、設備の修理・交換費用が不要となり、定期点検や清掃など維持管理の手間がなくなります。
ただし、修理・交換費用が負担になる場合でも、蓄電池やエコキュート、EV・V2Hと組み合わせることで電力の自給率を上げる方法も考えられます。撤去を決める前に、今後の電力使用計画や蓄電池などを導入した場合の収支シミュレーション、補助金情報を確認することをおすすめします。


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太陽光発電の10年後に関するまとめ

卒FITは、家庭のエネルギー活用を見直す絶好の機会です。売電収入が減る一方で、蓄電池を導入すれば昼間の余剰電力を夜間に活用でき、エコキュートならお湯を効率的に沸かせます。電気自動車やV2Hを組み合わせれば、電気代の節約や非常時の備えにもなります。
これからは電気を「売る」より「賢く使う」時代。売電価格の低下をネガティブに捉えるより、もっと効率的で経済的なエネルギー活用を目指していきましょう!

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