次期エネルギー基本計画の原案が発表されました。
次期エネルギー基本計画の概要
次期エネルギー基本計画の原案は、2040年の発電電力の構成比において「原子力発電は2割程度」に維持、「再生可能エネルギーは4~5割程度」に引き上げる。との内容でした。
電力の課題
昨今、生成AIの普及により電力需要が急増しており、「電力供給量増強」と「脱炭素」の両立を図ることが最大の課題となっております。
2040年の電力需要は現時点より1~2割程度増加する見込みです。
従来のエネルギー基本計画との変更点
東日本大震災以降は「原子力発電への依存度を可能な限り低減する」が方針でしたが、次期エネルギー基本計画からはこちらの文言は削除されております。
また、再生可能エネルギーについても「最優先で取り組む」という文言が削除されました。
原子力発電
古くなった原子力発電は、地元の理解を前提で、次世代革新炉に建て替える方針。
原子力発電の発電電力の構成比は現時点では8.5%程度で、2030年の目標が20~22%には程遠い状況です。
要因としては地元の理解が得られないことと、建て替え費用の調達が難儀していることです。さらに建設費などのコスト増が想定以上となっています。
原子力発電の建て替えなどの費用は電気代に上乗せして消費者から回収する建付けなので建て替えの費用面に関しては解決しそうですが、地元の同意を得られるか。の早期解決は難しそうですね。
再生可能エネルギー
次期エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの電源構成比を4~5割と主力電源と位置づけました。従来のエネルギー基本計画では火力発電が41%で再生可能エネルギーが38%と火力発電が主力電源と位置づけられていました。
2023年時点の再生可能エネルギーの電源構成比は23%で、目標達成には現時点の構成比を倍増させる必要があります。
再生可能エネルギーの普及率にインパクトが大きいメガソーラーの設置余地は皆無で、今後は住宅や施設の屋根、壁(ペロブスカイト)への設置がメインとなってくる。あとは洋上風力のポテンシャルは大きいですね。
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発電コスト
事業用の太陽光発電の発電コストは1kWhあたり8.5円で、原子力発電や火力発電と比較すると圧倒的に低価格ですが、太陽光発電は天気次第で変動が大きく電力システム側で受給をコントロールするコストを勘案すると、太陽光発電システムの発電コストは1kWhあたり15.3~36.9円に上昇し、結果的には原子力発電や火力発電と比較すると高価格の発電手段となります。
再生可能エネルギーの需給調整の解決策として、配電のエリア横断を実現するための配電網の強化や、大型蓄電池の普及促進などが進められており、発電電力の需給調整のスキームができれば再生可能エネルギーの発電コストは下がります。