ペロブスカイト太陽電池は、官民挙げて力を入れている次世代型の太陽電池です。高いエネルギー変換効率など優れた性能を有し、将来的にはペロブスカイトが太陽電池の主力になる可能性があります。ただし、ペロブスカイトを初めて聞いた方や、本当に希望が持てるのかと思う方もいるかもしれません。
この記事では、ペロブスカイト太陽電池の特徴やメリット、デメリット、将来性などを解説しました。太陽光発電をよりよく知りたい方や、自宅に太陽光発電設備を導入したいと検討中の方はぜひ参考にしてください。
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ペロブスカイトとは?構造と原理
ペロブスカイトは元々酸化鉱物の一種で「灰チタン石」と呼ばれています。一種独特の鉱物ですが、このペロブスカイトと同じ結晶構造を持つ化合物は、灰チタン石でなくてもすべてペロブスカイトと称するのが一般的です。以下、ペロブスカイトの構造と原理、さらには太陽光電池への応用について紹介していきます。
ペロブスカイト構造の特徴
ペロブスカイト化合物の構造と原理は一種独特です。立方体の中に正八面体が融合して共存する二重構造となっており、立方体のそれぞれの角に「原子A」、正八面体のそれぞれの角に「原子X」、さらにその正八面体の中心に「原子B」が配置されています。中核に原子B、その周りを原子X、さらにそれを取り囲むように原子Aが位置するという構造です。
以上がペロブスカイトの基本構造ですが、特色的なのは、互いに異なる原子が組み合わさって構成されている点にあります。そのため、A、B、Xとそれぞれの原子の位置に多種多様な元素を配置することができます。多様な元素を置くことによって、ある物質における光学的または電気的な調整が容易です。なおペロブスカイト構造が見られる物質には、フッ化物、酸化物、裾化物などがあります。
ペロブスカイト材料を太陽光電池へ
ペロブスカイト構造は、一種独特の見た目とは裏腹に、実用的かつ機能的な特徴を備えています。例えば、密度が高くて丈夫であることや、エネルギー変換率が高いこと、結晶内における電子や正孔のスムーズな移動が可能なことなどです。こうした特徴はいずれも太陽電池に必要な条件となっています。そのためペロブスカイトは太陽光発電池半導体の材料として注目を集めるようになり、本格的な実用化に向けた開発が進められています。
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ペロブスカイトの性能
ペロブスカイトの変換効率はシリコン系に匹敵
ペロブスカイトの優れた性能は、エネルギー変換効率に見られます。エネルギー変換効率とは、太陽光パネルで集めた光エネルギーの何%を電気エネルギーに変換できるかを示したものです。これについてペロブスカイトは、開発当初こそ3%程度にすぎませんでしたが、現在は研究と技術開発を進めた結果、20%前後にまで到達しています。太陽光発電で一般的なシリコンにおけるエネルギー変換効率は14~20%程度が一般的です。従って、ペロブスカイトはシリコンに匹敵する変換効率を備えていることになります。
しかも、ペロブスカイトのエネルギー変換効率はまだまだ発展途上である点にも注目です。現在では20%以上をクリアしているほか、30%も可能といわれ、実際に30%以上の変換効率を実現したケースも報告されていると言われています。
ペロブスカイトが世界的なエネルギーの需要に応える!?
米国エネルギー情報局の推定によると、世界のエネルギー需要は2040年までに現在の30%も増加し、800エクサジュールに達する可能性があると伝えられています。これらの大規模なエネルギー需要を賄うためには、インフラはもちろん、エネルギー変換効率の高度化が必要です。しかも環境を保護しながら安全にクリーンな電気エネルギーを供給するとなると、太陽光発電における変換効率の最大化が必須となります。
ここにおいて、一躍脚光を浴びることになるのがペロブスカイトです。ペロブスカイトは未だ本格的な普及・実用化に至っていませんが、エネルギー変換効率におけるポテンシャルは折り紙付きです。上述のとおり、現時点でもシリコンに匹敵するほか、それ以上の30%以上の変換効率を可能としています。今後順調に技術開発が進めば、ペロブスカイトは世界的なエネルギー需要に応える太陽電池のエースとして迎えられる可能性が高いでしょう。
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ペロブスカイト太陽電池は低コスト製造で経済性が高い
ペロブスカイトは高いエネルギー変換効率を有する高性能な素材であるため、さぞかしコスト高になるかと思いきや、経済性は良好です。特にビジネスの視点で見た場合のペロブスカイトの経済性の良さは、とても大きなメリットになります。
ではなぜ、ペロブスカイトは経済性が良いのでしょうか。一つの理由は、低コストで製造できるからです。レアメタルなど希少な金属を使わないペロブスカイトは材料費が抑えられるほか、塗布や印刷などの技術を用いて大量生産も可能となっています。加えて、ペロブスカイトは物理的に薄くて軽いため、輸送コストを低減できるのもメリットです。以上の理由で製造コストを抑えられるペロブスカイトは、高い経済性を発揮することができます。
前に世界的なエネルギー需要が高まっていることを紹介しましたが、そこにおいて必要となるのは、高いエネルギー変換効率と経済性です。この経済性という意味においても、ペロブスカイトはエネルギー界のホープとなり得る逸材といえます。
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ペロブスカイトの寿命
ペロブスカイト太陽電池の寿命は5年~10年
ペロブスカイトの寿命に関しては、現時点では従来の太陽電池(シリコン系)と比べて短いです。シリコン系は20年〜30年の耐用年数を有していますが、ペロブスカイトは5年〜10年程度と言われています。20年〜30年に対して5年〜10年ですから、実に半分以下の水準です。
ペロブスカイトはエネルギー変換効率の高さや製造コストの安さがメリットですが、その反面、酸素、湿気、紫外線などからダメージを受けやすい性質があります。そのため寿命に関しては、シリコン系に劣っているのが現状です。
ペロブスカイト太陽電池の寿命は日進月歩!
ペロブスカイトの寿命はシリコン系と比べて短いですが、いつまでも現状に留まるわけではありません。耐久性に関する技術は着実に進歩しており、将来的には現在よりも寿命が伸ばせる見通しです。そもそも開発当初のペロブスカイトの寿命はわずか5年でしたが、現在は10年程度に伸びています。
一部で10年以上の耐用年数を持つペロブスカイト太陽電池も開発されているほか、研究グループによっては、20年相当まで引き伸ばせることを実証したケースもあります。そのため将来的にはペロブスカイトの寿命はシリコン並となるでしょう。
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ペロブスカイトの商用化への挑戦
ペロブスカイトの商用化への挑戦は世界各国で活発化しています。2021年にはポーランドの太陽エネルギー装置メーカー、サウレ・テクノロジーが世界で初めてペロブスカイト太陽電池の商業生産と量産化に着手したほか、2023年には、中国の大正微納科技が100MW級・ペロブスカイト生産ラインの構築にこぎつけています。オックスフォードPV(英国)は、ペロブスカイト・シリコンのタンデム型太陽電池の開発を進めており、2020年時点で変換効率29.52%を達成しました。
その他、米国、ドイツ、オーストラリア、中国、韓国、台湾など世界各国の大学や研究機関などで、ペロブスカイトの品質向上や高耐久化、長寿命化、変換効率の向上のための研究開発が行われています。特許の出願件数も増えてきていますが、それはすなわちペロブスカイト太陽電池の商用化に向けた動きが活発化している証拠といえるでしょう。
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ペロブスカイトのメリット・デメリット
可能性と将来性豊かなペロブスカイトですが、現時点ではメリットだけでなくデメリットや課題も抱えています。
メリット1: 高いエネルギー変換効率
上述のとおり、ペロブスカイトのメリットの一つは高いエネルギー変換効率です。開発当初は3%程度の低効率でしたが、現在は20%以上をクリアしたほか、30%以上も可能とするポテンシャルを秘めています。エネルギー変換効率は発電設備の主要なバロメーターであるため、その点で秀でたペロブスカイトは将来有望な発電素材です。
しかも、ペロブスカイトは高耐久素材として進化しつつあります。エネルギー変換効率に関しては、継続的かつあらゆる条件や過酷な環境下でも成果を出しつづける必要がありますが、ペロブスカイトはこの点で技術開発が進められており、すでに高耐久なペロブスカイト太陽電池も開発されており、実用化への気運は嫌でも高まる一方です。
メリット2: 低コストでの製造可能性
これも上述しましたが、ペロブスカイト材料は、低コストで製造できるのもメリットです。ペロブスカイトは印刷と同じ「付加的製膜技術」で簡単に作ることができ、特別な加工は必要ありません。その上、シリコンのような多段階の製造工程も無く、材料費は高価な素材を用いることがないため安く抑えられます。一説には、ペロブスカイトの材料費はシリコン系太陽電池の約20分の1に収まるとのことです。
工程が少なく、材料費が安い、おまけに軽くて薄いペロブススカイトは輸送費や設置費用も抑えられるなど高い経済性を有しています。太陽光発電半導体の大量生産に適した材料といえるでしょう。このコスト優位性という一点だけでも、ペロブスカイトの高い将来性が感じられます。
メリット3: 軽量かつ柔軟な設計
既述のとおり、ペロブスカイトは非常に薄くて軽量な化合物です。こうした特性のメリットは、設置場所に困らないことです。シリコン系太陽電池のように一定の重量がある場合、場所によっては設置が困難になります。一方、軽量で薄いペロブスカイトは、シリコン系では難しい場所にもラクラクと設置することが可能です。
また、ペロブスカイトは柔軟な設計が施されています。体操選手のような柔軟性を持ち、歪みに強く、湾曲もOK、屋根だけでなく外壁や床面など従来の技術では難しかった場所にも設置可能です。このように場所を選ばないペロブスカイトの柔軟性という強みは、温室内での太陽光発電の利用も可能としています。
デメリット1: 長期安定性の課題
ペロブスカイトの課題の一つは、長期安定性です。太陽電池に求められるのは、エネルギー変換効率もありますが、それと同じくらい、何十年にもわたって性能と品質を保ち、高効率を維持しながら発電し続けることが大切です。その点、現状ではペロブスカイトは課題を抱えていると言わざるをえません。
特に指摘されるのが、物質としての「脆さ」です。ペロブスカイトは分解しやすい性質を持ち、大気中の酸素や湿度の影響を受けて早期に壊れたり性能が低下したりする可能性があります。実用化を考えるうえで、こうした特徴は致命的な弱点となるでしょう。ペロブスカイトがシリコン系太陽電池と肩を並べるためには、現状の耐用年数である5年〜10年程度をはるかに超える、高耐久による長期安定性を確保しなければなりません。
デメリット2: 湿気への敏感性
ペロブスカイトのネガティブな特性の一つとして、「湿気に弱い」ということがあります。吸湿性の高いペロブスカイトは湿気の影響を受けると劣化しやすく、性能(変換効率)が低下して、寿命が縮まる可能性が高いです。平たくいうと、ペロブスカイトは水に弱い物質なのです。長期安定性と実用化を目指すためには、この弱点を克服する必要があります。
なお、ペロブスカイトは湿気だけでなく、「高温」と「明るい光」も苦手です。湿気に加えて、高温&光照射が行われた場合、ペロブスカイトの性能の劣化はさらに加速することになります。高性能で柔軟性が高い一方で、非常にデリケートな素材であるともいえるでしょう。しかし、普及拡大のためには克服すべき課題といえます。
デメリット3: ペロブスカイト材料の有毒性
「鉛」を用いたペロブスカイトは人体に有害
高いエネルギー変換効率を実現しているペロブスカイト太陽電池の多くは「鉛」を用いています。この鉛が原料に使用されていることはデメリットです。なぜなら、鉛は人体に有害で発がん性や毒性を持ち、脳や神経、肝臓、腎臓、血液、消化器、生殖器など身体のさまざまな部分に影響を与えるからです。
鉛がそれほどデリケートなものである証拠に、鉛は厳重に管理された環境でしか利用が認められておらず、企業であれ個人であれ自由に屋内外で利用することはできません。それほど取り扱いが難しい物質だということです。またその関連として、原料に鉛を用いることは、環境保護を重視するESG(環境・社会・企業統治)の観点から、事業資金の調達が難しくなるデメリットもあります。
非鉛ペロブスカイトは効率が悪くなるジレンマも
人体への有害性や環境対応を考えると、今後のペロブスカイトは、鉛を使わない「非鉛ペロブスカイト」に完全移行するのがベストです。すでに開発が進められており、ペロブスカイトだけでなくシリコン系も含めて鉛フリーな太陽電池材料が注目を集めています。
ただ、ここにも一つデメリットがあります。それは、非鉛ペロブスカイトは鉛を用いた場合と比べてエネルギー変換効率が低いことです。非鉛を前提とする高効率・高耐久の素材開発が行われていますが、現時点では決定的な素材は作られていません。従って、鉛フリーを絶対条件として、いかに高変換効率の太陽電池材料を作るかが今後の課題となるでしょう。
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ペロブスカイト太陽電池は発展途上の有望株!
今回は太陽電池業界における未完の大器、ペロブスカイト太陽電池の特徴やメリット・デメリットを紹介しました。ペロブスカイト材料は高いエネルギー変換効率のポテンシャルを有し、低コストでの製造可能性、軽量性、柔軟性などメリットが豊富です。一方、長期安定性の課題や湿気への敏感性、材料(鉛)の有毒性などデメリットも少なくありません。
そのため、現時点でのペロブスカイト太陽電池の評価としては、幾つかの課題を抱えながらもポテンシャルは高く将来性は有望とする、未完の大器と呼ぶことができるでしょう。技術開発は日進月歩で行われており、今後もペロブスカイトは変化したり成長したりしていくため、その動向を見守っていく必要があります。ペロブスカイトの基本知識を確認したいときは、ぜひ本記事をご活用ください。