電気自動車の進歩はめざましく、今やなんでも可能なスマホのようなスーパーモビリティが実現しつつあります。その中核をなすのは「V2X」です。V2X搭載の電気自動車は、車両と車両、交通インフラ、歩行者、電力網など、さまざまなヒトやモノとつながり相互通信が行えます。完全自動運転の原動力としても期待されています。
この記事では、V2H(充放電設備)を含めたV2Xの基礎知識やメリット、実現可能なこと、将来性などについてまとめました。より安全性と効率性の高い電気自動車や充電設備を導入したい方は、ぜひご一読ください。
▶ V2Hの商品比較・メリットデメリット
エコ発電本舗の「取扱商品」「補助金情報」
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技術入門:車と全てをつなぐ未来
まず、そもそも「V2X」とは何か?について確認したいです。V2XはVehicle to Everything(車車間・路車間通信)の略語で、車とその周囲にあるさまざまなモノとの通信や連携を実現する技術概念をあらわしています。
車同士はもちろん、歩行者、交通インフラ、クラウドサービス(インターネット)など幅広い媒体と接続してネットワークを形成し、走行に関する大事な情報を互いに送受信したり、共有したりすることが可能です。
V2Xを導入することで自動車の通信基地化を図り、さまざまなモノとの通信・連携によって高度な運転支援を行い、交通事故のリスク防止と安全で快適な交通社会を実現します。自動運転技術の完成にも欠かせない概念です。
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V2Xと5つの接続先を解説
V2Xには複数の接続先(通信種別)があり、それらを総合した技術概念がV2Xです。ここでは、V2Xの接続先を5つ(V2V・V2I・V2P・V2G・V2H)に分類し、それぞれの特徴や役割を紹介します。
V2X技術における5つの通信種別
●V2V(Vehicle-to-Vehicle)
●V2I(Vehicle-to-Infrastructure)
●V2P(Vehicle-to-Pedestrian)
●V2G(Vehicle-to-Grid)
●V2H(Vehicle-to-Home)
V2V(Vehicle-to-Vehicle):車両間通信の基礎
V2Vは、Vehicle-to-Vehicle(車両間通信)の略語で、文字通り自動車と自動車の通信・連携を実現する技術です。測定機能や検知機能、安全機能、通知機能などさまざまな機能を搭載し、車間距離を測定したり、障害物を検知したり、相互通信によって周囲の車両と交通状況を共有したりすることができます。
V2Vの役割は、もっぱら運転効率の向上と交通事故防止にあります。車両間通信によってドライバーに多くの重要な情報が与えられ、快適な走行と効率的な運転を提供するのはもちろん、車両同士の相互通信によって、見通しの良くない場所でも、事故や衝突を避けることが可能です。
一般社会でもビジネスでも学校でも、今やあらゆる情報やモノを「シェア」する時代です。そうすることで相互連関性を強化し、より効率的で安全な仕組みを構築できます。
同様に車社会でも、V2Vを活用することで、交通状況や路面状況を互いにシェアし、相互通信(連携)によってより効率的で安全な自動車ライフが実現可能です。
V2I(Vehicle-to-Infrastructure):インフラと車の対話
V2Iは、Vehicle-to-Infrastructure(自動車×交通インフラ)の略語で、文字通り自動車と信号や標識などさまざまな交通インフラとの相互連携を可能とする通信技術です。自動車・インフラ間における専用機(V2X対応の各種端末)を用いた直接通信により、有益な情報を入手したり、共有したりすることができます。
V2Iの役割もV2Vと同様に、安全運転の強化と効率性の向上にあります。V2Vは車両同士で情報を共有しますが、V2Iは自動車と交通インフラをつなぐV2X技術の一つです。信号や標識などから重要な情報を得ることで安全な運転ができるのはもちろん、時短や効率的な走行を実現するための最適なルートを得ることも可能です。
さらに、燃費効率を高めたり、環境負荷の低減に貢献できるのもV2Iの魅力です。V2Iでは、交通状況に合わせて適切な走行の仕方をアドバイスするため、余分な走行と燃料のムダ遣い(電費)を避け、環境に優しいクリーンな走行を実現します。
V2P(Vehicle-to-Pedestrian):歩行者の安全を守る技術
V2Pは、Vehicle-to-Pedestrian(車と歩行者間通信)の略語で、車と歩行者との通信を可能とする技術概念です。接続先が歩行者である事から分かるとおり、車両の周囲にいる歩行者の情報を伝達し、人身事故のリスクを防止したり、歩行者および交通弱者の保護を実現したりします。
V2Pのポイントは、車と歩行者がお互いの位置情報を伝え合うことです。交通事故(人身事故)の多くは、車と歩行者がそれぞれ正確な位置情報を把握できていないことに要因があります。V2Pを活用すれば、専用の移動機を用いた車と歩行者の直接通信(ホットライン)が成立するため、車と歩行者の正確な位置情報の伝達が可能です。
特に活躍が期待されるのは、交差点における右折です。右折は左折と比べて死角が多く事故リスクも高いといわれますが、V2Pで歩行者の正確な位置情報をキャッチすることで、車と歩行者両方の安全を確保できます。
V2G(Vehicle-to-Grid):電力網とのスマートな連携
V2Gは、Vehicle-to-Grid(車と充電設備間通信)の略語で、車と既存の電力リソースをつなぐ通信種別の一つです。具体的には、車両から電力会社が提供する電力網にアクセスし、相互に電力をやり取りすることができます。
V2Gの役割およびメリットは、電力需給のバランスを保ち系統を安定化することにあります。現在、日本では太陽光や水力など再生可能エネルギー(再エネ)の導入が推進されていますが、その供給力は従来からの電力インフラと比べて不安定です。再エネ一択では、電力需給のバランスを保つことは叶いません。
しかし、V2Gを活用することで、自動車と電力網とのスマートな連携が実現します。太陽光発電で蓄電した電気自動車の余剰電力を電力網に供給したり、逆にバッテリーの不足を電力網からの充電で埋めたりすることも可能です。
V2Gの導入によって、再エネか否かの枠を越えた、電力需給全体のバランス維持と系統安定化を実現できます。
V2H(Vehicle-to-Home):自宅を電源にする車
V2Hは、Vehicle-to-Home(充放電設備)の略語で、読んで字のごとく自動車と住宅間で充電・放電の両方を可能とする技術です。V2Xの一種に分類されるケースとされないケースがあります。通信は関係ありませんが、電気自動車と家庭用電源との間で相互に充電と給電を行うことが可能です。
V2Hの目的は、自動車の電源化にあります。従来の常識では、電気自動車は外部から充電を行い走行するのが主な役割でしたが、V2Hを導入すると、自動車から住宅へと電気を供給する電源として活用することが可能です。
さらに、V2Hの適用範囲は家を飛び出し、学校や公民館といった避難所となる施設での利用も可能なため、災害時の停電を支える非常電源としての役割も果たします。V2H単体では、電気自動車に貯めた電気は自宅にしか供給できませんが、ここにV2Xシステムを導入することで、自宅以外でも使えるようになります。
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V2Xの実装:現在の自動車における進歩
V2Xの完全なる社会実装の実現にはまだまだ程遠い状況ですが、技術は着実に進歩をとげており、現時点でも多くの画期的かつ実用的な技術や機能が生み出されています。ここでは、V2Xの開発事例の幾つかを紹介します。
音と表示で通知を行い事故を防止するV2V
V2V(車両間通信)における開発事例です。V2Vの特徴は車両同士で行える情報通信ですが、その強みを生かして、衝突の危険が生じた際、車両間で音と表示による通知を行い、衝突事故を防止するシステムが開発されています。とりわけ右折時の衝突事故を防止するのに有用です。
交通インフラを通じて車とヒトがつながるV2I
V2I(自動車×交通インフラ)に関する開発事例です。やはり交通事故防止を目的に、車と交差点設置したカメラ情報や信号機情報をリンクさせ、通信システムを通じて車やヒトの存在を知らせるサービスが開発・運用されています。
電力系統に接続し双方向のスマート充電を実現するV2G
V2G(車と充電設備間通信)における開発事例です。V2Gが車と電力系統との接続を実現することは紹介しましたが、それに加えて、接続したすべての車両の総蓄電需要量を把握し、最適な方法で充放電が行えるシステムも開発されています。スマート充電の促進に有効です。
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V2Xと自動運転:完全自動化への道
V2Xに期待されていることは多々ありますが、最大のものは完全自動運転車の実現です。人の手を100%排除した完全自動運転車の実現によって、交通事故の削減をはじめ、渋滞の解消、環境負荷の軽減、高齢者の移動支援、運転手不足への対応などさまざまな社会問題を解決できるといわれています。
しかし、完全自動運転車を実現するのは容易ではありません。自動車側の技術的な問題をクリアするだけでは成立せず、車両と車両、交通インフラ、歩行者、電力系統など交通環境を構成するすべてにおいて高度化が必要です。
完全自動運転では、これまでヒトが行ってきたことを全て自動化するため、いかなる環境変化にも左右されることなく、自動車がいつでも自律的かつ主体的に動ける技術とシステム環境の整備が求められています。
それを実現するのがV2X技術です。V2V、V2I、V2P、V2GなどV2Xを構成する各種通信技術を十分に活用することで、完全自動運転車を実用化する道が開かれます。
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国際標準と規制:V2Xの普及を加速する
V2X技術の普及を加速するためには、交通インフラの整備はもちろん、規格や規制の標準化も必要です。V2X技術に関する規格が乱立し統一されていない状況では、普及をダイナミックに進めていくことができません。
例えば、通信規格については「C-V2X」と「DSRC」が有力です。いずれも世界的な標準化が進められているV2Xの通信規格ですが、V2Xの普及加速化のためには、両者が並立するより統一化(一本化)するのが望ましいでしょう。
規制に関してはどうでしょうか。V2Xをめぐる法的問題については、テクノロジーが日進月歩であるため、今後のV2X技術の進展に応じてその都度、法整備を進めていくことになります。事故発生時の責任問題、通信データの権利関係、プライバシー、保険への影響、税金の問題など、法的問題を考慮するさいの論点は多彩です。
課題は山積みながら、こうした規格や規制の標準化を進めていくことが、V2Xの普及加速化に貢献します。
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V2Xにおけるデータ管理とプライバシー
V2Xの導入によって交通安全と効率性が向上する一方、データ管理とプライバシーの重要性が増していきます。なぜなら、V2X通信で取り扱うデータには、重要な道路交通情報や車両情報、個人情報なども含まれるからです。通信データにおける管理やセキュリティ環境が充実していなければ、安心して運用することができません。
そのため今後は、車車間(V2V)をはじめ、車・インフラ間(V2I)、車・歩行者間(V2P)など各段階での高性能ストレージの導入や通信暗号化、アクセス制御など高度なセキュリティ対策が求められます。特に高度なサイバー攻撃に対しては、車からヒト、モノ、クラウドに至るまで包括的なセキュリティ対策が必要です。
なお、世界のV2Xのサイバーセキュリティ市場規模は、2032年までに約77億万ドル(2023年:約15億ドル)に成長すると予測されており、これだけで、V2Xにおけるデータ管理とプライバシー保護の重要性が理解できます。
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安全と効率を手に入れる! V2Xの3つのメリット
交通安全において高い可能性を秘めているV2Xですが、特に有用な3つのメリットを紹介します。
●交通事故のリスクを低減できる
●完全自動運転が実現可能となる
●エネルギーの安定供給を実現する
交通事故のリスクを低減できる
V2Xシステムでは、V2V(車と車の通信)をはじめ、V2I(車とインフラの通信)、V2P(車と歩行者の通信)など、各通信技術を用いて、安全運転に必要な情報を運転手に提供しあるいは共有し、状況に応じた効果的な運転支援を行います。
その結果、自動車とドライバー、歩行者を含めたあらゆるモビリティの安全性を向上し交通事故のリスクを低減できます。自分だけでなく、V2Xシステムを導入するネットワーク全体の交通安全を高度化できるのが利点です。
完全自動運転が実現可能となる
すでに述べたとおり、V2X技術の究極の目標は完全自動運転車の実現です。そのためには、車車間通信、車・インフラ間、車・歩行者間など、各フェーズでの安全技術の高度化が必須となります。これらは、V2Xシステムを活用することで実現可能です。
さらに、自動車における認知・判断・制御といった自動運転に欠かせない3つの動作が洗練、確立し、V2Xシステムと連携することで、安全なだけではない、快適で効率的な走行を体現する完全自動運転車が完成します。
エネルギーの安定供給をサポートする
V2Xは、自動運転の安全性や効率性の向上だけでなく、エネルギーの安定供給に貢献する働きもします。例えば、V2G(車と充電設備間通信)を活用すると、車と電力網が相互につながって電力をやり取りすることができ、電力需給のバランスを安定化することが可能です。
また、V2XをV2H(充放電設備)と連携することで、電気自動車に貯めた電気を自宅だけでなく、他の家や施設でも使えるようになり、災害時の非常用電源として活躍します。停電時のバックアップ電源としても有用でしょう。