昔からの課題だが、再生可能エネルギーの発電電力が有効に使い切れていない問題が未だに解決されていません。
予測では、2030年頃に北海道と東北の再生可能エネルギーの発電量の4割が無駄になる可能性があるとのこと。
具体的には、太陽光発電や風力発電の発電量が需要電力を超えた場合に、発電を抑制する「出力抑制」が行われており、抑制される電力量が増える見通しということ。
◆ 何が要因?
世界的に「脱炭素」をかかげており、再生可能エネルギーの発電量を増やす方針をかかげています。
にも関わらず、地域によっては発電電力の供給過多で活用できないという事態が起きている。
太陽光発電や風力発電は天候によって発電量の変動が激しいので、以下のような調整システムが必須となる。
● 大型の蓄電池を設置し蓄電
● 火力発電の出力抑制
● 送電線を強化し、需要が多いエリアに送電
◆ 施策の効果予測
2030年の出力抑制率の予測(※単位は%)
北海道 | 東北 | 中国 | 九州 | |
---|---|---|---|---|
対策なし | 49.3 | 41.6 | 28.6 | 34 |
蓄電池設置 | -0.3 | -3.8 | -11.2 | -6 |
火力発電の 出力抑制 |
-11 | -18.7 | -15.4 | -3 |
送電網の増強 | -49.3 | -41 | ? | -12 |
上記の試算から、送電網の補強の効果が圧倒的に大きいことが明らからです。
蓄電池は最低需要の10%の蓄電容量の設備を設置した場合の試算なので、蓄電容量によって効果は異なります。
送電網が整備されれば、需要が多い地域に直接発電電力を供給できるので、他の施策よりもシンプルで全体の発電効率も上昇します。
◆ 送電網の増強計画は?
経済産業省は、中間案として連系線の容量を全国で1600万kW増強する計画です。
1600万kWは、現状の1.7倍で、予算は4.8兆円です。
出力抑制は事業者の積極的な導入の妨げになるので、解決策や予算が策定されているなら早いとこ実行してもらいたいものだ。国の方針である「再生可能エネルギー普及拡大」と整合性がとれない。