COP26では、石炭火力の段階的な削減で合意した。
特に途上国は環境問題よりも貧困問題の方が解決すべき喫緊の課題で、生活に不自由がない先進国とは課題が異なる。
◆ 日本の今後の動向は?
日本は発電量の3割を石炭火力に依存しており、先進国としては圧倒的に脱炭素への意識が低いと言わざるを得ない。
現状を打破しないと、世界に向けた発言力はもちろん、新しい産業での競争力を備えることもできず、文字通り後手に回ってしまう。
日本の電源構成で、石炭火力を含む化石燃料は75%を占めます。
発電時に発生するCO2の量は、再生可能エネルギーや原子力発電を活用する欧州と比較すると2倍以上となります。
日本の今後のビジョンとしては、2030年までに石炭火力の比率を19%に削減する目標をかかげているが、他の先進国と違い、火力発電の廃止は計画していない。
東京電力などの取り組みとして、火力発電にアンモニアを混焼させたり、発電効率を高める施策を施しているが、火力発電自体を削減するような抜本的な取り組みはなされていない。
◆ 欧州の動向は?
欧州は火力発電所の廃止を宣言している。
さらに、温暖化対策が不足している国からの輸入に対して税金を上乗せする「国境炭素税」を検討している。
もし、国境炭素税が導入されれば、温室効果ガスの削減が少ない日本の自動車などは課税対象となり、価格競争力が低下し、業績に悪影響となります。
◆ その他、世界の動向は?
今回のCOP26では、石炭火力の「段階的廃止」から「段階的削減」に弱まったが、世界が気候変動リスクを共有し、各国が早急に取り組む姿勢を明示できたのではないでしょうか?
インドは「まだ貧困削減に取り組む必要がある」と発言しているが、国民を貧困から救済することの方が重要だろうし、貧困環境の中では環境問題など考える余地がないでしょう。
他の途上国も同様に、貧困問題の解決が先決であることは間違いないでしょう。
今日の食事もままならない状況で環境問題など、志の高い目的の共有は困難です。
途上国は、先進国の資金支援についても不満をつのらせている。2020年までに1000億ドルを支援すると宣言していたが、22~23年に後ろ倒しとなった。
先進国は世界のリーダーとして、途上国を支援する義務があり、資金支援などセンシティブな要素はしっかり実現しておく必要がある。
各国様々な事情がある中で、意思決定を行っているので合意している施策は実現すべきである。
開催国のイギリスは、案件によっては賛同できる国だけで合意する「有志連合」の方針で事を進めました。