中国の電力不足により、太陽光パネルの価格が上昇しています。
太陽光パネルの生産には、莫大な電力が必要で、中国では石炭火力から天然ガスに面舵いっぱいで主力電源をシフトしている過渡期で、大規模な停電や電力の使用制限が各企業に矯正されている。
◆ 中国の太陽光パネルの価格は?
・7~9月の中国製太陽光パネルの価格:4,530$/㌧
➔ 昨対比20.4%上昇
4~6月ですでに5.9%ほどの価格上昇でしたが、直近では高騰しております。
商品コストが20%も上昇すると、販売店や施主様のリターンが大幅に減少するので、太陽光発電の普及にも影響します。
◆ 太陽光パネルの価格上昇の要因は?
上述の通り、中国は脱炭素に向けて温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電から、排出量が少ない天然ガスに主力電源をシフト中です。
結果的に電力の供給量が不足し、各工場で計画停電を余儀なくされており、生産量が減少し、販売価格が上昇しているのです。
・7~9月の中国製太陽光パネルの輸入量:12,120㌧
➔ 昨対比42.8%減少で、半減しています。
さらに、中国国内でも再生可能エネルギーを大量に設置する必要があり、輸出よりも自国での活用を優先している結果、海外への供給量が激減し、需要と供給のバランスにより価格が上昇しています。
◆ 今後の太陽光パネルの価格は?
この状況は今後悪化することが予測されます。
冬に向けて電力使用量が増大し、工場に供給される電力量がさらに削減される可能性があります。
また、年末に向けて各国の太陽光パネルの需要が高まる見込みなので、需要がさらに増加し、供給がさらに減少する見込みとなりそうです。
中国の太陽光パネルの世界シャアは2019年で72%と、寡占状態です。
他国に仕入れ先を振り替えても、注文が殺到し、価格上昇は免れないでしょう。
各国が中国に対して脱炭素の施策を促しておりますが、現実的には中国から製品を購入しているその他の国にも大きな影響を及ぼすことになります。
石炭火力発電を増やせば、温室効果ガスが増え、他の発電にシフトすれば電力不足で生産物の価格が上昇するジレンマ。
過渡期だからしばらくは仕方ないことですかね。