エネルギー基本計画が3年ぶりに改定されました。
◆ 温室効果ガスの削減目標は?
小泉進次郎前環境大臣が宣言した「温室効果ガス46%削減」も盛り込まれており、2013年比較で2030年の温室効果ガスは46%の削減を目指すことが正式に文書化されています。
パリ協定で宣言された、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの目標は継続されます。
◆ 再生可能エネルギーの比率は?
再生可能エネルギーの電源の目標比率は22~24%から、36~38%まで拡大されました。ちなみに現状の電源比率の2倍です。
原子力発電の比率は現状維持で東日本大震災前の20~22%程度となる見込み。
東日本大震災後は、おおむね原子力発電は停止しており、2019年の原子力発電の電源比率はわずか6%程度。
安全が確認できた原子力発電所から再稼働を始めるだろうが、主要エリアの東京電力管内は、福島原発の損害賠償問題などが解決しておらず、再稼働の議論ができない状況です。
原子力発電の電源比率20~22%の実現には原発30基の再稼働が必要となる。
2019年の火力発電の比率は76%で、天然ガス37%、石炭32%、石油7%の構成比となっている。
欧州では野心的な目標が打ち立てられており、イギリスでは火力発電は2024年に全敗、フランスやドイツも2030年代に全敗すると宣言されており、日本の火力発電の構成比19%の目標は消極的で世界から批判されており、先日のCOP26では「化石賞」という嫌味で不名誉な賞を受賞した。
エネルギー基本計画は、2003年に策定され、3年ほどで改定されています。
2018年の改定で初めて再生可能エネルギーを主力電源にすることが宣言されています。
と、現状から考えればかなり野心的な目標で、残り時間8年足らずで実現できるのでしょうか?
今のところ、即効性のある施策は「太陽光発電の設置」で、住宅の屋根や公共設備を中心としたビルの屋上への設置です。
景観を崩さずに設置できる非常に現実的な施策なので、いちはやく補助金や系統などを整理して、施主が太陽光発電を設置しやすい環境をつくってほしいものです。
◆ 地域連携の施策が必須
再生可能エネルギーの普及拡大には地域との連携が必須となる。
エネルギー基本計画では、地域連携の施策を具体的に掲げている。
・自治体が再エネ・省エネを促進する区域を設
・住宅や建築物の省エネ基準への適合義務付け拡大
・2兆円基金により、水素・蓄電池など重点分野の研究開発と社会実装を支援
・2030年度までに全国で100以上の脱炭素先行地域を創出