バイオマス発電は、日本では主要な再生可能エネルギーの一種で、補助金や電力会社が発電電力を高価格で買い取る立て付けになっているが、欧州やアメリカではバイオマス発電を再生可能エネルギーとして認定しない動きが出てきています。
◆ バイオマス発電の課題と全体像は?
バイオマス発電の主な燃料はウッドチップで、大量に調達することが森林伐採につながり、二酸化炭素を吸収するはずの森林を破壊することになりかねない。
バイオマスの燃料や温室効果ガスの吸収源としての「森林」についてCOP26で議論される予定です。
そもそもバイオマス発電が再生可能エネルギーに認定されている仕組みは、バイオマス発電の材料である間伐材などの不要となった木材や燃やせるゴミ、食料廃棄物など「生物由来の燃料」を利用する発電方式です。
燃やすので、発電の際に二酸化炭素が発生しますが、燃料の植物が光合成で吸収する二酸化炭素と相殺されたとみなして、再生可能エネルギーと認定されている。
日本ではFIT制度の認定を受けており、バイオマス発電の発電電力は固定価格で電力会社が買い取ります。
◆ 日本でのバイオマス発電の現状は?
現時点でのバイオマス発電の発電能力は、
450万kW(石炭火力発電所5基分相当)
エネルギー基本計画では、2030年度に800万kWまで引き上げる目標を掲げており、国内の全発電量の5%を担う予定です。
と、再生可能エネルギーの主力に位置づけられているバイオマス発電ですが、最近は雲行きが怪しくなってきています。
◆ バイオマス発電の何が問題?
再生可能エネルギーの主要な課題は3つです。
燃料調達の問題
バイオマス発電の主要となる燃料は「間伐材」で、森林育成を活性化するために間引いた木材で、森林育成にもつながる一石二鳥の取り組みとなる。
しかしながら、国内の間伐材の仕入れには大きなコストがかかり、実際は海外からの輸入木材が燃料となっているのが現状です。
仕入元はアジアやアメリカなわけだが、海外から輸入する木材は必ずしも間伐材(不要な木)とは限らず、環境改善に必要な森林を伐採した木材を輸入しているとのことで、アメリカから日本の経済産業省に抗議が来ている。
燃焼時以外の二酸化炭素
例えば、ヤシを燃料とする際に発電しやすいように事前の加工作業が必要となり、加工作業時にメタンガスが発生し、温室効果ガスが排出されてしまう。
生態系への影響
例えば、東南アジアではバイオマス発電の燃料確保に伴い森林が伐採されオラウータンの住処が削減される事態になっている。
そこまで気にかけていたら、かなり行動が制限されそうだが、必要な森林の伐採は本末転倒ということですね。
結果的に、欧州やアメリカでは森林を伐採した原料で発電しているバイオマス発電は再生可能エネルギーと認定しない方針を示しています。
追従して日本でもどうするか?議論が始まっています。
ただし、FIT制度は開始されており、途中で頓挫すると投資家や事業主は大きな損失を被るので対応も一筋縄ではいかなそうです。