脱炭素関連の市場は今後、急拡大が確約されている巨大フロンティアです。
温室効果ガスの影響で気候変動リスクは拡大しており、各国が一丸のとなって温室効果ガスの排出量削減の実現を余儀なくされている。
この「地球環境」という、誰も反論できないような圧倒的な正論力。
気候変動リスクは最強の危機感情勢のきっかけとなっています。
ジレンマは従来の経済発展の取り組みが気候変動リスクの引き金になってしまうという事実です。
産業が活性化すれば化石燃料を使わざるを得ない状況で、火力発電が主力電源である現状を打破するのは、並々ならぬ覚悟と実行力が必要となる。
そんな中でも脱炭素への取り組みでリーダーシップを発揮する欧州に対して、日本はくいこんでいけるのでしょうか?
◆ 脱炭素実現の予算は?
2050年までのカーボンニュートラル
2030年までの温室効果ガス45%削減
国際エネルギー機関(IEA)の見立てでは、これらの目標達成には、年間で450兆円の投資が必須となります。
IEAが見立てる脱炭素のための予算の提言は、今月末に開催されるCOP26への伏線であり事前告知です。
各国はこれらの予算が必要なことを理解し、具体的な温室効果ガスの削減目標を策定し実行することを強いられます。
2020年の脱炭素関連の投資額はおよそ56兆円で、多くは再生可能エネルギーや電気自動車(EV車)の普及に投資されています。
資金調達の方法としては、グリーンボンド(環境債)がメインで、2020年のグリーンボンドの発行額は25兆円で前年より26%も増加しています。
多額のグリーンボンドが発行されているが、需要の方が大きく、結果的には想定よりも低金利での発行となっております。
環境に対する市場の関心が非常に高く、投資家のリターンは減るが、調達コストは削減できるので、良い傾向です。
◆ 日本の状況は?
日本は環境改善において、リーダーシップを取っていた時代があります。
「サンシャイン計画」などの後押しがあり、かつてはシャープや京セラの太陽光パネルが世界シェアの上位を占めていました。
リーダーシップを継続できなかった理由として、政府と電力会社が再生可能エネルギーの普及に消極出来だったこと、日本の各メーカーが普及拡大させるための投資をためらったことなどがあげられる。
しかしながら、各日本メーカーは投資を継続したところで、太陽光パネルのライフサイクルが成長期に入れば、合理的な生産技術が決め手になるので、中国など低コスト生産国に勝てたか疑問ですね。
比較的性能の差別化が出しやすい風力発電においても、欧州に先行され日本は撤退を余儀なくされている。
蓄電池市場においても同様で、車載用蓄電池はかつてはパナソニックなど日本勢が世界シェア5割を占めておりましたが、現状は韓国や中国勢がシェアを獲得しています。
エコ発電本舗が取り扱う家庭用蓄電池において、国内市場はニチコンやダイヤゼブラ電機(田淵電機)などが高いシェアを獲得しているが、ファーウェイやテスラの蓄電池が徐々にシェアを伸ばしており、将来的には日本市場も海外勢が席巻するかもしれません。
車においては、各国がガソリン車の新車販売禁止を掲げているが、欧州や中国は官民一体となり電気自動車(EV車)へのシフトに動いている。
電気自動車(EV車)といえば「テスラ」のイメージが大きいが、実は日産は電気自動車(EV車)の先駆者で世界シェアトップの時代もあったようです。
総じて、大量生産の拡大フェーズで撤退しており、技術がコモディティ化したあとの大量生産のノウハウが日本は各国に劣後しているようです。
市場ニーズに合わせた大量生産の実現には「大量雇用」や、場合によってはフレキシブルに「レイオフ(解雇)」できる雇用制度もセットで必要となり、解雇規制が厳しい日本では市場ニーズに合わせたフレキシブルな人材戦略は難しいですね。