温室効果ガスによる環境改善が喫緊の架台であることは、世界中の共通認識だが、現実は一枚岩とはいかず、各国の意見の相違が顕在化し始めています。
国にとって、経済力もビジョンも主要産業も異なるので意見の違いは当然かもしれませんが、世界が一丸となって環境改善を実現することが重要なフェーズなので、できる限りビジョンはすり合わせたい。
中国・インドは、経済発展実現のため石炭火力を当面利用したい意向で、欧州は早急の休廃止を求めている。
中国・インドは経済発展が著しく、中国のGDPは日本を抜いて世界2位でそこだけにフォーカスすれば、もはや発展途上国とはいえず、世界をリードしていくべきだが、実際はそんなに単純じゃないだろう。
GDPは日本の3倍程度だが、人口は日本の10倍で、人口あたりのGDPは圧倒的に日本が高く、まだまだ発展途上とカテゴライズする方が普通だろう。
製造業が主産業なので、電力などエネルギーも莫大に必要なので、短期的な移行が難しいのは想像できます。
◆ 温暖化対策の目標値
パリ協定では、産業革命以降の気温上昇を1.5℃以内に抑えることを目標値に設定している。
温度上昇抑制の目標達成のためには、2050年頃にはカーボンニュートラルが実現していることが必須となる。
さらに、2030年時点では2010年より45%ほどの削減が必要です。
ということで、脱炭素に積極的な欧州を中心に温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電の休廃止を求めているが、中国やインド、ロシアは取組に消極的で、経済成長優先で化石燃料への依存を継続する意向です。
中国やインドは人工が圧倒的に多く、そもそも国単位での評価は不当と主張し、「1人あたりの温室効果ガスの排出量を指標とすべき」との意見も出ている。
実際に、一人あたりの温室効果ガスの排出量は、インドより日本、ドイツ、アメリカの方が多い。
また、中国やインドの視点では、「先に経済発展した欧米を中心とした先進国が率先して脱炭素に取り組むべき」という一見まともな意見が出てきている。
中国やインドの主張は、一見スジが通っているようにも思えるが、地球環境の現状と将来を考えるとそんなことを主張している場合ではない。
結局、気候変動による災害が増えれば中国やインドも甚大な損害を受ける。
先進国は中国やインドの環境改善を支援する方が現実的な気がします。
◆ 欧州と日本の意識のズレは?
石炭火力においては、欧州と日本でも意見に相違があります。
京都議定書で、カーボンニュートラルを宣言した時点では、東日本大震災の前で原子力発電が多数稼働しており、カーボンニュートラルの実現も現実的であった。
現状では、2030年の目標値でも石炭火力の比率は20%を依存し、イギリスなどからは批判の対象となりそうです。
環境問題の深刻度や、改善のための対策は明白だが、現状はそうもいきません。
経済成長の実現には従来以上のエネルギー消費が必須で、再生可能エネルギーの普及が不足している現状では化石燃料に依存せざるを得ない。
しかしながら、化石燃料への投資は減少し、結果としてはガスなどのエネルギー価格が急騰している。