東京電力や博報堂は、家庭の電力使用量データを、インターネット広告のターゲティングに活用するサービスを近々始める。
◆ どんな広告に利用する?
スマートフォンのIDと紐付けて、分譲マンションやショッピングモールなどの広告を配信予定。
◆ 課題は?
インターネット広告につきものの「個人情報の保護」が課題。
インターネット広告では、クッキー情報など個人情報の保護が大きな課題となっている。
昨今は「クッキー情報を提供するかどうか」お伺いとたてるようになっており、多くの人が拒否していると思われる。
電力データなど、自分の行動データを企業に利用されて広告を配信されるのは、「生活を覗かれているようで気分が悪い」と感じる方がほとんどだろう。
たしかに気持ち悪いが、企業視点で考えると広告を配信するターゲティングの精度が悪いと、個人と広告をマッチングできず、無関係な広告が配信されることになる。
おそらくほとんどの人が無関係な広告が配信されることの方が不快ではないだろうか。
極端な話だが、クッキー情報や電力データなど生活情報を積極的に企業に提供すれば、自身に配信される広告の精度は高く、自分が必要としている商品やサービスを最適なタイミングでレコメンドしてくれて、ショッピングの利便性が飛躍的に高まる。
考え方次第だが、自分の生活データを分析して、より良い生活のアシストをしてくれると解釈してはどうだろうか。
マッチ精度が高い広告の配信は、買物のためにリサーチしたり考えたりする手間を省略してくれる。
逆に、個人に関わる情報は一切提供しない場合は、ターゲティング精度が悪い広告が配信される。男性に化粧品の広告バナーが配信されたりする。
広告が買物のアシストにならないので、自分でリサーチや思考しなければならない。
個人的な情報の提供と、利便性はトレードオフなので、「個人的情報の搾取は悪!」と、主張するデメリットも考えた方が良い。
電力データが活用できる商品サービスは限られているかもしれないが、例えば、昼間の電力使用量が多い戸建ての家であれば、太陽光発電の広告などがマッチする。
また、太陽光発電を利用しているご家庭で、夜間帯の使用電力量が多い場合は、蓄電池などの商品がマッチする。
冷蔵庫やエアコンなどの個別家電製品の電力使用量がわかれば、よりエコな商品の広告配信が効果的だろう。