マンションはビルの寿命は60年程度と言われていますが、実際は確実にメンテナンスを行うことで100年以上は維持できると言われています。
約50年前から日本国内でもマンションが急激に建築され、近年「経年劣化」が危惧され築30年以上のマンションが急激に増えています。マンションのオーナーや管理組合は大規模修繕の必要性や内容、相場観などあらゆることを学んで最適な処置を施し、住人が長期的に快適に生活できるように配慮する必要があります。
マンション・ビルの大規模修繕時期は?
マンションの大規模修繕の時期ですが、築10年で必ず実施しなければならないという法律があるわけではございません。
基本的にはマンションには「長期修繕計画」という計画がされており、例えば12年目に大規模修繕工事を実施すると定められたりしています。しかし状況によって「資金が足りないので3年後に行う」とか「サビの部分だけ先に補修する」とか、臨機応変に変更していくのが一般的です。
大規模修繕の内容と適性時期は?
大規模修繕の項目はどういうものがあるのでしょうか?
エレベーター取替工事:30年
屋上防水工事:12年
ルーフバルコニー防水工事:12年
バルコニー天井塗装工事:12年
バルコニー床防水工事:12年
共有部の照明器具取替工事:20年
外壁塗装工事:12年
外壁タイル躯体補修工事:12年
給水ポンプ取替工事:20年
受水槽取替工事:20年
機械式駐車場取替工事:25年
シーリング工事:12年
外廊下の場合の防水工事:12年
大規模修繕で発覚する隠れた不具合
マンションやビルの大規模修繕は、マンションの施工会社ではなく第三者に依頼した方が良いです。大規模修繕を行うとビルの施工自体に不具合がある場合が少なくありません。
【事例1 外壁タイル】 外壁タイルが浮いているケースが多々あり、場合によっては経年劣化で剥がれて落下し、物や人にあたり大惨事になる場合もあります。
【事例2 内部構造】 内部構造は耐震性に影響するので非常に重要な問題です。通常はコンクリートの中に網状の鉄筋を入れているのですが、不足していたり、入っていない場合もあります。また鉄筋を覆うコンクリートの厚さが薄すぎて鉄筋部分からひび割れや錆汁が出てくる場合があります。
大規模修繕の費用相場は?
個別性が強いのでザックリした費用相場になりますが、だいたい1戸80万円程度です。例えば7階建て50戸のマンションであれば総額は4000万円程度となります。
修繕積立金が不足??
マンションの大規模修繕の費用は、所有者の修繕積立金が捻出しますが、積立修繕金が不足しているケースも非常に多いようです。
一般的な修繕積立金の相場は「200円/㎡」と言われていますので、70㎡の部屋であれば14,000円の修繕積立金となります。
これに対して、大規模修繕費用を床面積で割るとだいたい「10,000円/㎡」程度。共有部を含めた総床面積が4,000㎡であれば大規模修繕費用はだいたい4,000万円ほど。ということになります。
4000万円の大規模修繕費用に対して、戸数30戸、修繕積立金14,000円/戸とすると、1年間でだいたい500万円ほど積み立てられます。全戸確実に回収できた場合8年間で大規模修繕分の費用を用立てることができます。
なんとかなりそうですね。
しかし、大規模修繕工事の費用は2回目、3回目とどんどん高額なりますので、築年数が古くなると修繕積立金の金額を値上げする必要があります。