世界の電気自動車市場は中国メーカーが有力ですが、品質面は大丈夫でしょうか。政治的にも気になるところです。電気自動車の導入を検討している方の中には、中国のEVに興味を持っている方も多いと思います。
この記事では、世界における中国電気自動車メーカーについて、その特徴や将来性、評価、コスト、デザインなど総合的な観点で解説しました。中国電気自動車に関心のある方や、全体像を理解しておきたい方はぜひチェックしてみましょう。
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中国電気自動車市場の現状と展望
中国電気自動車の市場規模や急成長の背景、今後の展望などについて紹介します。
普及率と市場規模で世界をリードする中国
世界市場における電気自動車の勢いを見る際の指標として、普及率と市場規模がありますが、中国の電気自動車は普及率・市場規模いずれにおいても世界をリードしつつあります。
国際エネルギー機関（IEA）の発表による2022年度の新車販売台数に占める電気自動車の割合（世界の電気自動車の普及率）は14％でした。国別の普及率ではヨーロッパ勢が上位を占めたものの、ヨーロッパ以外では中国が最も高く29％を記録しています。
他方、電気自動車の市場規模に関しては、世界における2022年の電気自動車の市場規模1020万台（販売台数）のうち、中国は590万台を占めており堂々の市場1位でした。
中国電気自動車急成長の背景にあるもの
中国電気自動車市場の成長要因としては、技術の向上もさることながら、より根本的には環境問題があります。中国では、自動車販売台数の急激な増加や都市化によって、排気ガスの増加と環境問題の悪化への懸念が高まりました。
これらを解決する施策として社会の「電化」が採用され、その中心的な役割として電気自動車の普及が推し進められていくこととなったのです。
中国電気自動車と今後の展望
中国電気自動車は世界を席巻していますが、今後も同じ勢いで急拡大を続けていくかどうかは不透明です。むしろ、全国乗用車市場情報連合会（乗連会）のデータによれば、出荷台数の増加率は鈍化しています。
そのため今後の中国電気自動車メーカーの動向としては、さらなる海外進出を推進してくると予測されています。
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中国の充電インフラとネットワーク
中国の充電インフラは世界最大規模
中国では、新エネルギー（再エネ）車の充電インフラ整備が大々的に進められており、設置数や種類、サービス範囲、システムにおいて世界最大規模に達するといわれています。例えば、中国の国家エネルギー局によると、中国の2023年末時点でのEVの充電インフラは前年比で65％増の859万6000本（ヵ所）となりました。
そして、中国は充電インフラの規模拡大を続けるだけでなく、充電インフラシステムにおける中国標準を国際化するべく推進に取り組んでいます。中国の充電インフラとネットワークが、将来的には世界標準として普及する可能性もゼロではありません。むしろその可能性は高まっていると言うべきでしょう。
それほど勢いのある中国の充電インフラですが、一方で以下のような課題もあります。
課題はルールの統一化
中国の充電インフラにおける課題は、統合性にあります。中国の充電インフラとそのネットワークは、規模こそ世界最大を有するものの、バランスの悪い部分があったり、ルールが統一されていなかったり、ちぐはぐな面が少なくないとの指摘もあります。
そのため今後は、カバー範囲を広げつつも、同時に統一化したルールの下、合理的な構造によって高品質な充電インフラシステムを推進する必要があるでしょう。
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中国電気自動車の国際市場への進出
ここでは、中国電気自動車の国際市場における展開を見ていきます。
中国は世界一の自動車輸出国、新エネルギー車でも国際市場を席捲
「世界の工場」と言われて久しい中国は、今や自動車市場において世界一の輸出国となっています。自動車輸出台数で中国は2021年に200万台、2022年に300万台、2023年には491万台に到達し、ついに日本を抜いて世界1位の自動車輸出国となりました。
注目は輸出の内訳です。491万台のうち新エネルギー車（EVが筆頭）の輸出台数は120万3000台となっており、前年比77.6％の驚くべき成長を見せています。欧州ではEVが活況を呈していますが、ここでも中国電気自動車が2024年に25.3％まで上昇するとの予測もあります。
なお、中国電気自動車の海外進出において中核的な役割をはたしているのは「BYD」です。BYDは中国電気自動車メーカーの最大手であり、かつ2023年上半期には世界でもっとも売れた電気自動車メーカーとして名をはせ、現在は米テスラを抜いて世界トップのEVメーカーとなりました。
貿易摩擦＆政治摩擦の壁
世界の電気自動車市場で飛ぶ鳥を落とす勢いの中国メーカーですが、すべて順風満帆とは限りません。日本がかつて1980年代にアメリカとの間で経験した「貿易摩擦」の懸念があるほか、社会体制や経済運営の仕方で西側諸国とぶつかりやすい「政治摩擦」の問題もはらんでいます。これら2つの壁をどう乗り越えるかが、中国電気自動車の今後を占う上での注目ポイントになるでしょう。
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中国電気自動車のレビューと評価
中国電気自動車はどこが評価されているのでしょうか。レビューと評価をリサーチしました。
コストパフォーマンスの良さが好評
中国電気自動車への評価はさまざまですが、最も言及が多いのはコストパフォーマンスの良さです。一つは車体価格の安さ。世界的な平均は300万〜400万ですが、BYDが販売するモデルの中には300万円以下のEVもあります。
また、車体価格だけでなくランニングコストの安さも評価が高いです。特にBYDに搭載したリチウムイオン電池は、他社と比べて希少金属をほとんど使用しないため、その分コストを低くすることができます。こうしたコストパフォーマンスへの高評価は、中国電気自動車のトレードマークといっていいでしょう。
走行性を含めた総合的評価も高い
BYDをはじめとする中国電気自動車は、安いだけが魅力ではありません。走行性能、ドライブフィーリング、バッテリー性能、回転式モニター、ラゲッジスペースといった機能面や装備性、利便性も含めて総合的な評価も高いです。
中国電気自動車は、さまざまな用途に使える幅広いモデルがラインナップされており、世界のEV市場における幅広いニーズを満たしているため、総合的な評価が高いのも当然といえるかもしれません。
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中国電気自動車の価格とコストの比較
中国電気自動車は全体的に価格が安く、コストパフォーマンスも良好です。ここでは、中国電気自動車の価格とコストを比較しました。
中国電気自動車は製造コストが安い
中国電気自動車の価格が安いのは、製造コストを抑える取り組みを行っているからです。一例として、BYDのケースが挙げられます。BYDではEVに搭載する電池を内製しているほか、電池の材料には価格が安いリン酸鉄リチウムイオン電池（LFP）を使用することで、製造コストを抑えることに成功しています。
また、BYDは電池だけでなく、部品のほとんどを社内で製造しているといわれ、この製造コストの低減によってEVの低価格を実現しているメーカーです。EVコストの約4割を占める電池の製造コストを削減すれば、車両価格の低下につながるのは必然といえるでしょう。
中国電気自動車は走行コストも良好
中国電気自動車は、走行コストすなわち電費（ガソリン車でいう燃費）も良好です。一例として、BYDのEV「ATT03」では、1kWhあたりの電費が約8.3km/kWh、後続距離は約485kmとなっています。ライバル車のボルボXC40リチャージシングルモーターの電費が約7.3km/kWhですから、それを上回る走行コストの良さを発揮していることになります。
低価格に加えての低走行コストですから、コストパフォーマンスも良好です。もっとも単に価格が安くて性能が良いのではなく、デザイン性の良さなど外観や装飾性の高さもともなっています。
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中国電気自動車のデザイン
電気自動車の充電時間はできるだけ短縮したいところです。ここでは、充電時間を短縮するコツをご紹介します。
多種多様なデザインパターン
前項で少しふれましたが、中国電気自動車は価格が安いだけでなく、デザインも多種多様で個性があふれています。
中国メーカー全体を眺めてみると、流線的なラインが光るスマートなデザインもあれば、装飾性を抑えたシンプルなデザインもあり、画期的で前衛的なデザインもありといった具合にパターンが多様です。特に個性的なものとしては、中国皇帝の象徴たるドラゴン（龍）をモチーフにしたモデルもあります（BYD/ATTO 3）。カラーバリエーションも多彩です。
基調はヨーロピアン
中国電気自動車のデザインはオリジナルがあふれていますが、基調はヨーロピアンです。これには理由があります。中国電気自動車の製作には、中国人だけでなく、ヨーロッパのデザイナーも多く活躍しているからです。
彼らはヨーロッパのメーカーで培ったデザインのエッセンスを、中国電気自動車に導入しました。そのため、中国のデザインは全体的にヨーロピアンなものが多くなったと考えられます。ただ、最近は地域性を越えて、個性から洗練（スタイリッシュ）へとテイストが転換しつつあるようです。
この辺りは、シンプルなデザインによる国際標準化を進めていきたい中国メーカーのグローバル戦略の意気込みが見てとれます。
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EVの普及における広告とマーケティング
電気自動車の普及を促進するためには、種々の広告戦略やマーケティング（販売促進政策）が効果的です。欧州に次いでEVの普及率が高い中国では、従来からの広告施策はもちろん、デジタルマーケティング、ダイレクトマーケティング、DtoC（ダイレクト・トゥ・コンシューマー）、補助金支給、購入税免除を含めたさまざまな普及施策を行ってきた経緯があります。
こうした広告とマーケティング戦略への果敢な取り組みが、中国電気自動車の普及を強力にバックアップしてきたことは間違いありません。しかし、EVの普及をより確実なものとするためには、充電インフラを中心とする環境を整備することが重要です。
例えば、電気自動車の普及が遅々として進まない日本を尻目に、中国での普及がテンポよく進んでい要因には、充電インフラとネットワークの充実があります。電気自動車を走らせるための素地（インフラ）を十分に整えてこそ、広告・マーケティング戦略も意義のあるものとなります。日本でのEV普及を図る場合も、中国の例が模範となるでしょう。
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中国電気自動車の保険とリスク管理
中国といわず、電気自動車といわず、自動車を購入する際は、事故や故障などあらゆる不測の事態を想定したリスク管理が必要です。中国電気自動車の保険とリスク管理に関しては、特に以下の点に気をつけましょう。
電気自動車は重大事故リスクが恐い
電気自動車に関するリスクとして警戒すべきは、重大事故を起こした場合の巨額の補償や修理代です。修理代については、特にバッテリーが損壊した場合の修理費用が高額になる可能性が高いため、注意が必要になります。
注意するだけでなく、あらかじめ自動車保険に加入しておくことでリスク管理ができますが、自動車保険の保険料は、ガソリン車より電気自動車の方が高くなる傾向にあることも知っておきましょう。EVの保険料が高いのは、車両価格がガソリン車より高く、修理にかかる時間も長くなることが多いからです。
中国電気自動車のリスク管理は自動車保険で対応する
中国に限った話ではありませんが、電気自動車にはリチウムバッテリーの故障リスクや高価な交換費用など、特有のリスクがあります。そのため、中国電気自動車を購入する場合、自動車保険への加入は必須です。それもできるだけ、EVに特有のリスクに対処できる保険サービスを利用することをおすすめします。
ちなみに、中国電気自動車大手のBYDは、独自の自動車保険プランを提供しています。BYDに関心のある方や、同社のEV購入を検討中の方はチェックしてみましょう。
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中国電気自動車の購入時の注意点とアドバイス
中国電気自動車の購入を検討する際は、必ず以下のポイントをチェックしましょう。
スペックとコストパフォーマンスをチェックする
電気自動車は、予算に見合った性能とコストパフォーマンスを継続的に発揮し続ける車両を購入することが大事です。そのため、装備・仕様、走行性（出力、加速）、機能性、快適性、走行コスト（電費）など、スペックとコストパフォーマンスは必ずチェックしましょう。
サポートが受けやすいメーカーを選ぶ
新車の電気自動車を購入した場合でも、いつどこで不具合が起きるかわかりません。実際にトラブルが起きると、専門のメカニックでなければ適切に対処するのは難しいでしょう。そのため、中国電気自動車を購入する場合は、できるだけディーラーが生活圏内にあるメーカーを選ぶことをおすすめします。
バッテリーの保証期間は要チェック
スペック・コスパも大事ですが、バッテリーの保証期間の長さをチェックすることも重要です。バッテリーはEVにおける最重要パーツであり、ここに不具合が生じるとEVは立ち行かなくなります。そのため、バッテリーの保証期間はメーカーごとに必ず確認しておきましょう。
なお、EVにおける一般的なバッテリーの保証期間は8年または16万kmのどちらか先となっています。
購入者によるレビューを確認する
中国電気自動車の購入に際しては、メーカーの営業だけでなく、実際の購入者によるモデルのレビューを参考にすることも大切です。購入者のレビューをチェックすることで、自分では気づかなかったメリット・デメリット・注意点などが見つかるかもしれません。
あるいは、百聞必見にしかずとも言います。機会があれば各メーカーの試乗会に参加してみるのもよいでしょう。
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EVの環境への影響
電気自動車（EV）は、ガソリン車のように走行中にCO2（二酸化炭素）を排出しないため、その点では環境にやさしい乗り物といえます。ただし、EVの生産から廃棄するまでの過程においては少なからず環境への影響があります。
例えば、EVの基幹部品ともいえるバッテリーを製造する際にはCO2を排出するほか、バッテリーにはニッケルやコバルトなど重金属が含まれ、土壌汚染や水質汚染を招く可能性がゼロではありません。
できるだけ環境にやさしい中国電気自動車を購入したい方は、こうしたEVの環境リスクを知っておくことで、より環境負荷の少ない方法でEVを製造しているメーカーを選択できるでしょう。
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中国政府のサポートと規制
中国電気自動車は国家政策としてのバックアップを追い風に成長してきたエコカーです。上述したとおり、中国国内ではEVの購入に際して、補助金支給や購入税免税といった普及政策を実施しているほか、一定比率以上の新エネ車（EV等）を販売することを企業に課した「NEV規制」や、自動車の燃費性能に関する規制を定めた「CAFE規制」も導入しています。
こうした国家によるサポートや規制を背景に、いわば政策的に普及率とシェアを伸ばしてきたのが中国電気自動車メーカーのエッセンスです。中国電気自動車は計画的な成長と発展が可能であり、世界不況の影響を受けにくいのが特徴となっています。
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