カーポートにソーラーパネルを設置し、スペースを有効活用する「ソーラーカーポート」。SDGsへの意識が高まる昨今、導入を考えている人も多いのではないでしょうか。ソーラーカーポートは設置にそれなりのコストや手間がかかるため、導入前に詳細を正しく理解しておくことが大切です。今回は導入後に後悔しないよう、ソーラーカーポートの概要やメリット・デメリット、コストや選び方など役立つ知識を幅広く紹介します。
▶ ソーラーカーポートの価格と商品性能
エコ発電本舗の「取扱商品」「補助金情報」
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ソーラーカーポートとは?
ソーラーカーポートとは、カーポートの屋根の上に太陽光パネルを設置して発電できるようにした設備のことです。設計や設置方法によって「一体型」「搭載型」「オーダーメイド型」の3種類に分類され、それぞれ特徴が異なります。一体型はカーポートの屋根と太陽光パネルが文字通り一体化したタイプで、フラットな屋根を4本の柱で支えるスタイルが一般的です。このタイプは最初から太陽光パネルの設置が前提となっているため、カーポートのサイズや外観に無駄がなくスタイリッシュな印象になります。
搭載型は既存のカーポートに後付けで太陽光パネルを設置するタイプで、カーポートと太陽光パネルが別のユニットで構成されています。設置しやすいため各メーカーが多彩な製品を取り扱っており、住宅やカーポートの外観などに合わせた最適なものを選びやすいです。太陽光パネルの買い替えや角度調節も容易ですが、カーポートの耐荷重や形状によってはパネルを設置することができません。カーポートに用いられることが多い半透明のポリカーボネート素材の場合、耐荷重が低くカーブもしているためパネル設置ができず、カーポートごと買い替えや補強工事が必要になるでしょう。
オーダーメイド型は、敷地の広さや環境などに合わせてカーポートを設計し、その屋根に最適な角度や外観、サイズの太陽光パネルを設置するタイプです。細かい調整が可能なので理想的なカーポートになりますが、その分一体型や搭載型と比べてコストが高くなりがちなので注意しましょう。
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ソーラーカーポート導入のメリット
ソーラーカーポートを導入するメリットは、主に2つあります。1つ目は、これまで無駄になっていたスペースを有効活用できること。カーポートは車を日差しや雨風から守る重要な役割を果たしていますが、屋根の上は完全なデッドスペースになっています。そこに太陽光パネルを設置するだけで電力を作り出すことができるのです。必要なのは屋根の上の空間だけなので、車の保管スペースには何ら影響がありません。作り出した電気は自宅で消費できるため電気料金の節約になるのはもちろん、余れば売電して利益を得ることもできます。このように本来なら使い道のないデッドスペースを有効活用できる点は、ソーラーカーポート最大のメリットです。
2つ目は、災害などによる停電発生時でも電力を使用できることです。日本は地震や台風の被害により、停電が発生することも珍しくありません。現代の生活は多くの電化製品に支えられており、停電が長引けば多大なストレスを抱えてしまうでしょう。情報収集や連絡手段に欠かせないスマホも、充電できなくなれば使えません。この点、ソーラーカーポートがあれば周囲が停電していても電気を使えますし、一緒に蓄電池を導入しておけば日中に発電した電気を夜間に使うこともできます。いざというときの備えとしても、ソーラーカーポートは大いに役立つでしょう。
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ソーラーカーポート導入のデメリット
ソーラーカーポート導入のデメリットは、主に2つあります。1つ目は、コストがかかること。カーポートだけでなく太陽光パネル、発電設備などの費用がかかるため、一般的なサイズでも初期費用として数百万円はかかるでしょう。既存のカーポートを活用する搭載型は少しは割安ですが、その場合でもまとまった額が必要になります。施工業者の中にはローンを組めるところもあるので、利用する場合は住宅ローンなどほかの借り入れも含めて無理のない返済計画を立てるようにしましょう。また、設置してから年数が経てばカーポートやパネルが劣化していき、メンテナンスや買い替えの費用もかかります。将来的に必要な費用も事前に確認し、計画的に準備しておきましょう。ソーラーカーポートで発電した電力は売って収益化することもできるため、損益をシミュレーションしておくのがおすすめです。
2つ目のデメリットは、ソーラーカーポートの設置に自治体から増築の許可が必要なことです。建築確認申請を出さずに設置した場合、違法建築として扱われたり、許可がおりずにソーラーカーポートの撤去を求められたりする恐れがあります。トラブルを避けるために、建築基準法や申請手続きに詳しい施工業者を選ぶようにしましょう。
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ソーラーカーポートのベストな設置場所
ソーラーカーポートのメリットを生かすには、設置場所をよく選ぶことが重要です。まずは、太陽光がしっかり当たるかどうかを確認しましょう。太陽光発電は、当然ながらパネルに日光が当たらなければ発電できません。発電効率を高めるには、1日を通して日射量を確保できるエリアを選ぶ必要があります。日射量は地域や季節によっても変わるので、自宅の敷地でどこが最も日当たりが良いのか、よく調べるようにしましょう。なお、太陽光パネルは気温が高くなりすぎると発電効率が落ちてしまうため注意が必要です。パネルに使われている半導体のシリコンは温度が上がると性能が低下する性質があるため、沖縄など気温が高い地域や猛暑の時期などは発電効率が下がってしまうのです。このため、日当たりが良くても過度に高温になりやすい場所は避けたほうが良いでしょう。
▶ ソーラーカーポートの懸念点
また、周辺にある建物や樹木の影がかかる場所も避けるべきです。ソーラーカーポートは一般的に建物よりも屋根が低い位置にあるため、周辺の建物の影に入ってしまうことも珍しくありません。日射量が十分なエリアだったとしても、周囲に高い建物や樹木があると影ができる時間が増え、発電量が落ちてしまいます。できるだけ周囲に影を作り出すものがなく、安定した日射量を確保できる場所を選びましょう。
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ソーラーカーポートの耐用年数
ソーラーカーポートは設備である以上、経年劣化などによっていつかは寿命を迎えてしまいます。その都度メンテナンスや買い替えが必要になるので、費用を準備しておきましょう。国税庁が定めた構築物の耐用年数によると、一般的なカーポートは構造や素材が近い「露店式立体駐車設備」に該当し、税務上の耐用年数は15年と定められています。使用されている素材や設置場所によっても寿命は変わりますが、おおむね10~15年を目安に考えて良いでしょう。
カーポートの屋根に設置する太陽光発電システムの耐用年数は17年と定められていますが、それぞれの部品ごとに寿命は異なります。一般的に太陽光パネルの寿命は20~30年といわれていますが、太陽光パネルが一般家庭に普及してからまだ20年ほどしか経っておらず、実際にどれくらい耐久性があるのか確実なデータがありません。国内には30年以上稼働している太陽光発電設備も複数存在しているため、法定耐用年数よりは長く活用できる可能性が高いでしょう。なお、発電した電気を家庭で使えるように変換するパワーコンディショナーという装置は、使用開始から10年ほどで性能が落ちるといわれているため注意が必要です。
屋外に設置するカーポートや太陽光パネルは、汚れが付着したり飛来物で破損したりすることもあり、発電効率が落ちる場合もあります。耐用年数の間は大丈夫と考えるのではなく、長く発電効率を維持できるよう4年に1度を目安に専門業者に定期点検を依頼しましょう。
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ソーラーカーポートの導入コスト
ソーラーカーポートを設置するコストは、タイプやサイズ、発電量、メーカーなどさまざまな要素によって変わります。基本的には駐車する車の台数(カーポートの屋根のサイズ)によって変わるので、台数別に比較してみましょう。2台用の場合は180~240万円、3台用は250~300万円、4台用は300~380万円が目安となります。オーダーメイドで設置する場合は、この相場にプラス30万円ほど上乗せされると考えておきましょう。サイズは設置する太陽光パネルの大きさに直結し、広いカーポートほどより多くの電力を作り出せることになります。発電出力は、一般的に2台用で2.5kW~4.5kW、3台用で4.5kW~9.5kW、4台用で7kW~12.5kWです。発電出力が高ければ余った電力を売って多くの収益を上げられるので、スペースや予算に余裕があれば大きなサイズを検討するのもひとつの方法です。
なお、立地によっては追加工事が必要になり、余計なコストがかかる場合もあります。まずは予算を決め、相見積もりを依頼し、比較検討して予算内に収まるかどうか確認しましょう。ただし、相場よりも安すぎる施工業者には注意が必要です。ソーラーカーポートは決して安いものではなく、相場より異常に安い場合は手抜き工事をされたり、工事後に難癖をつけて高額請求をされたりする恐れがあります。事前に口コミや過去の施工実績などをよく調べ、信頼できる施工業者を選ぶことが大切です。
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ソーラーカーポートを選ぶポイント
ソーラーカーポートを選ぶ際は、まず「耐風圧」と「耐積雪量」を確認しましょう。耐風圧は、どの程度の風までカーポートや太陽光パネルが壊れずに耐えられるかを表した数値です。カーポートはフラットな形状をしていることが多く、風の影響を受けやすいため飛ばされてしまう可能性があります。一般的には耐風圧38m/秒ほどの製品が多いですが、沿岸部や高台に設置する場合は強風が吹きやすいため、より耐風圧に優れた製品を選ぶと安心です。近年は勢力の強い台風が増えているため、台風被害が多い地域も同様に耐風圧を重視したほうが良いでしょう。
耐積雪量は、カーポートの屋根の積雪量に耐えられる強度を示した数値です。地域によっては100cm、200cmと雪が積もることもあり、耐積雪量の低いカーポートでは雪の重みに耐えられずカーポートが倒壊してしまう恐れもあります。一般的に、製品カタログに記載されている耐積雪量は新雪の場合が多く、締雪や粗目雪になると重量が大きく変わり、破損を招くこともあります。雪が多い地域は余裕をもった耐積雪量のソーラーカーポートにするか、こまめな雪下ろしを行うようにしましょう。
このほか、選ぶポイントとしては発電容量や導入コスト、デザインなどが挙げられます。どれを重視するかは人それぞれですが、あらかじめ優先順位を考えておくと製品を絞り込みやすくなり、導入後の後悔も避けられるでしょう。
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ソーラーカーポートのコストを回収できる時期
ソーラーカーポートで発電した電力のうち、自宅で消費しなかった分は売電して収益化することができます。たとえば、150万円のソーラーカーポートを購入し、年間の発電量が平均5000kWhだったとしましょう。そのうち60%を自宅で消費し、40%を売電したと仮定します。なお、2022年度の売電単価は17円ですが、自宅で使う電気料金は1kwhあたり30円前後の計算となります。自宅で消費する電力の電気料金は3000kWh×30円=90000円相当、売却する電力は2000kWh×17円=34000円相当です。供給される電力を使用する場合と比べ、年間で12万4000円の利益となります。
150万円÷12万4000=12.097なので、ざっくりと考えて12年ほどで利益が購入費用に到達することになります。ただし、実際には10年目以降の売電単価は大きく下がるうえに、定期的なメンテナンス費用も必要です。天候によって発電量も左右されますし、災害で破損するリスクもあります。それも含めれば、費用回収まではさらに長い年月がかかるでしょう。太陽光発電は利益を得るためではなく、あくまでも節電や停電時の備え、環境への貢献などを目的として設置するのがおすすめです。
ちなみに、売電単価よりも電気料金のほうが高く、しかも電気料金は近年着々と値上げしています。このため、発電した電力はできるだけ自家消費したほうが利益が大きくなり、より早い費用回収につながるでしょう。
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ソーラーカーポートにかかる税金
ソーラーカーポートを設置すると、新たに税金の対象となる可能性があります。設置後に思わぬ税金の支払いに慌てることがないよう、どのような税金がかかるのか確認しておきましょう。
固定資産税
土地や建築物などには、基本的に毎年一定の固定資産税が課されます。一般的なカーポートは柱と屋根だけで構成されているため建築物には当たらず、固定資産税の対象にはなりません。ところが、ソーラーカーポートの場合は一定の条件を満たした場合、固定資産税の対象となるケースがあります。具体的には、「屋根がある」「3方向以上が壁に覆われている」「基礎部分が地面に固定されている」「作業や居住が可能」という4つの条件をすべて満たした場合です。このうち「屋根がある」と「基礎部分が地面に固定されている」はすべてのカーポートが該当するはずです。
「3方向が壁に覆われている」と「作業や居住が可能」という条件を満たすと、単なる屋根と柱ではなく建築物だと見なされるため、固定資産税の対象になってしまいます。また、発電量が安定して10kW以上あるソーラーカーポートは事業用と見なされるため、やはり固定資産税の対象です。発電量10kW以上というと車両4台分ほどのソーラーカーポートになるので、大きなサイズを検討している場合は注意しましょう。余計な出費を増やしたくないなら、壁に覆われていない発電量10kW未満の製品を選ぶことが重要です。
所得税
ソーラーカーポートで発電した電力のうち、自家消費せず売電して利益を得た場合は所得税がかかります。会社員の場合は雑所得、事業を経営している場合は事業所得として課税対象になるので注意しましょう。会社員は給与以外に年間で20万円以上の所得があると、毎年2月16日~3月15日の間に自分で確定申告を行わなければなりません。なお、所得が20万円未満でも住民税の申告は必要です。自治体の担当窓口へ「住民税申告書」を提出して行うため、事前に自治体に確認しておきましょう。
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ソーラーカーポート導入に使える補助金
ソーラーカーポートの設置には高額の費用がかかるため、国や自治体の補助金を活用できないかと考える人も多いでしょう。2023年現在、個人が設置する一般住宅向けの補助金は残念ながらありませんが、法人向けの補助金なら「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」があります。これは駐車場を活用したソーラーカーポートや蓄電池の導入を行う民間企業などを対象として、環境省が行っている支援事業です。対象者は営業基盤を有し事業の継続性が認められる者となっており、民間企業以外にも学校法人や医療法人、社会福祉法人など幅広い団体が利用できます。所定の条件をすべて満たした場合、ソーラーカーポートの導入にかかった経費のうち3分の1の補助金が交付されます。
補助金を希望する場合は、年間で複数回設けられた公募実施期間内に実施計画書などを提出して応募しなければなりません。ただし応募したからといって必ず補助金を受け取れるわけではなく、書面審査やヒアリングなど厳正な審査を通過する必要があります。補助金の上限は1億円とかなりの額を支援してもらえるので、大規模なソーラーカーポート設置を検討している場合は特に役立つでしょう。