2022年4月から、一部の上場企業に対して「気候関連財務情報開示タスクフォース」が提言する気候変動リスクの情報開示が義務付けられます。
現在、国際的な共通ルールの策定に向けて議論がすすんでいる。
◆ 情報開示の内容は?
ざっくり言えば、脱炭素に向けた行動計画で、定量的な温室効果ガスの削減目標や、実現のための技術開発など、行動計画を客観的に評価できる内容です。
具体的には、温室効果ガスの削減を実現するための技術開発への開発や人員強化、排出量が多い事業からの撤退や縮小の計画などが求められる。
たとえば、自動車メーカーであれば「●●年までに電気自動車(EV車)の割合を●%増加する」や、「会社の購入電力を●●年までに全て再生可能エネルギーに変更する」などがあげられる。
◆ 気候関連財務情報開示タスクフォースとは?
気候関連財務情報開示タスクフォースは、TCFDと呼ばれており2015年に発足。
2017年に企業に気候変動リスクの開示を求める提言をしており、日本国内では2021年9月時点で504企業が情報開示に賛同しており、世界最多となっている。
2022年4月に東京証券取引所では、東証一部、東証二部、マザーズ、ジャスダックなどの枠組みが再編され、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」に変更されますが、プライム市場に該当する企業に対して、TCFDが提言する開示が求められます。
◆ TCFDが求める情報は?
TCFDが求める開示情報の内容は、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」です。
具体的には、
・気候変動に対応するための取締役会の体制
・気温上昇や規制を強化することで財務にどう影響するか
・温室効果ガスの削減に対する具体的な計画
現時点では開示義務は、東京証券取引所のプライム市場に該当する上場企業のみで、大企業が率先して気候変動リスクに対応し、具体的な情報を開示することで、その他の企業にも連鎖していく見通しです。
◆ 気候変動リスクとは?
気候変動リスクは、温室効果ガスの排出量が増加することで、経済や社会が被るリスクの総称です。
タスクフォースが定義する気候変動リスクは「移行リスク」「物理的リスク」に分類できる。
「移行リスク」
・脱炭素税など法律や規制の変化
・再生可能エネルギーの技術革新
・特定サービスや商品の需要変化
・低炭素への移行の遅れによる評価定価
「物理的リスク」
・洪水などの自然災害
・長期的な気候変動
移行リスクは、低炭素に規制などが移行する過程で、既存産業が陳腐化したり、需要が変動することによる業績の影響です。
物理的リスクは海面上昇や洪水などにより設備や工場などが受ける直接的な被害額のことを指します。